Ema Ryan Yamazaki

Ema
Ryan
Yamazaki
山崎エマ

東京を拠点とするドキュメンタリー監督。日本とイギリスの血を引き、ニューヨークにもルーツを持つ。日本人の心を持ちながら外国人の視点が理解できる立場を活かし、人間の葛藤や成功の姿を親密な距離で捉えるドキュメンタリー制作を目指す。

3本目の長編監督作品『小学校〜それは小さな社会〜』が2023年東京国際映画祭でワールドプレミアし、現在様々な国での映画祭で上映され、配給中。そして、編集と共同プロデュースを務めた伊藤詩織監督の『BLACK BOX DIARIES』が2024年のサンダンス映画祭で上映され、高い評価を得た。

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About

神戸生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。大阪の公立小学校を卒業後、中・高は神戸のインタナショナルスクールに通った。青春時代にはモダンダンスに没頭し、自己表現の面白さと難しさを学ぶ。

映像制作に興味を持ったのは中学生の授業でビデオカメラを使って「何か」を伝える機会をもらった時。ストーリーテラーになることに魅力を感じた。

19歳で渡米しニューヨーク大学映画制作学部を卒業後、巨匠サム・ポラードの編集助手としてキャリアを開始。

2012年、大学卒業直後に応募した国際衛星テレビ局アルジャジーラの一般応募を勝ち抜き、京都で800年続くお寺を持つ家族のジレンマを捉えた『MONK BY BLOOD(お寺の子)』を制作。2013年に130カ国以上で放送された。

2014年にはロバート・レッドフォードがエグゼキュティブ・プロデュースし、巨匠マーク・レビンが監督を務めたCNN のドキュメンタリーシリーズ番組『 CHICAGOLAND 』の編集を担当。

その後レビン氏と再びタッグを組み、編集とコープロデュースを手がけた長編ドキュメンタリー『CLASS DIVIDE』 が2015年、DOC NYCでグランプリを受賞し、2016年にHBOで放送。

2017年1月にNHKで放送されたマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙』にまつわるドキュメンタリー番組にアメリカ側のディレクターとして参加した。

監督、プロデュース、編集を手がけた初長編ドキュメンタリー作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』(英題『MONKEY BUSINESS: THE ADVENTURES OF CURIOUS GEORGE'S CREATORS』)では、人気絵本シリーズ「おさるのジョージ」の著作者、ハンスとマーガレット・レイ夫妻の半生をアニメーション、アーカイブ映像、インタビューを交えて描いた。

3年間の制作期間を経て主に大学時代の仲間と作り上げた作品は、クラウドファンデングで18万6000ドル(約2000万円)を集め、2017年にロサンゼルス映画祭でワールドプレミア後、アメリカの大手配給会社オーチャードから世界配給。日本での劇場公開は2018年夏より行われた。

2008年より9年間ニューヨークに住んでいた山崎は、日本を出たからこそ気づいた日本独特の良さ、そして「アニメ・スシ・フクシマ」以外の日本の姿を海外に発信したいという思いが強くなり、2017年春から東京にも拠点を作った。

その夏、久しぶりに目にした高校野球の姿が、日本社会の規律や協調性の象徴に見え、次回作のテーマにすることを決める。夏の甲子園100回大会を迎えた高校野球の長期取材はNHK・NHKエンタープライズとの国際共同制作プロジェクトとなり、NHKでは2018年夏にノーナレ『遥かなる甲子園~Diaries of Youth~』が、そして2019年春にETV特集『HOME〜我が愛しの甲子園〜』が放送。

海外向けの映画完全版『KOSHIEN: Japan's Field of Dreams』は2019年にアメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭DOC NYCでワールドプレミアされ、2020年6月にはスポーツ・チャンネルESPNにて全米放送。ニューヨークタイムズ紙の「海外映画おすすめトップ5」にも選出された。

日本では戦後初めて甲子園が中止された2020年夏、劇場公開。大谷翔平と菊池雄星を輩出した花巻東高校の佐々木監督と、その彼が師と仰ぐ横浜隼人高校の水谷監督のそれぞれの100回大会の年を通して、戦後からの日本、そしてこれからの日本を見つめる作品となった。

2019年にはNHK大河ドラマ『いだてん』の紀行番組(全47本)を担当。『#dearICHIRO』(全11本、Yahoo! Japan Creators Programで配信)では、子供の頃からの自身のヒーローであるイチロー選手が、世の中に与えた影響を探りながらファンや関係者の物語を取り上げた。

2020年には、世界屈指の舞踊団アルビン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターの副芸術監督を30年近く務めた日本人、茶谷正純を5年間追った『CHAYA 魂の番人〜エイリー舞踊団に捧げた半生〜』がNHK BS1スペシャルとして放送。NHKワールドでも放映された。

第二次世界大戦中に製作された日本の特異なヒューマニズム映画の運命的な歴史を探求する『ウィール・オブ・フェイト~映画「無法松の一生」をめぐる数奇な運命~』を監督。本短編ドキュメンタリーは、『無法松の一生』の4K修復版とともにヴェネチア国際映画祭のクラシック部門でプレミア上映された。

2020年12月、Yahoo! JAPANの「Documentary Filmmaker of the Year Award」を受賞。

2021年には京都にある800年の歴史を持つ寺の未来の住職とその婚約者、そして姉を追った『TEMPLE FAMILY』がNHKとNHKワールドで放映された。本作品は、伝統と進歩のバランス、特にジェンダーに関しての課題で奮闘する日本社会の意外な一面を捉えている。『MONK BY BLOOD』の続編でもある。

2022年にはカンヌ国際映画祭でプレミア上映されたオリンピック公式映画『東京2020オリンピック』の共同監督兼スーパーバイジング・エディターとして、河瀬直美監督のチームに加わった。

山崎の最新作『小学校〜それは小さな社会〜』は、2023年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映された。東京都の公立小学校に前代未聞の密着取材を敢行し、小学1年生と6年生に1年間密着し、日本社会に必要な素養を身につける子どもたちの姿を観察した。自らも日本の小学校に通った監督の「日本社会の基礎は学校教育にある」という信念から生まれた作品である。

本作品は、業界を代表する海外セールス社Autlookによって販売され、テッサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭でのインターナショナルプレミア上映。

最近では、伊藤詩織監督の『BLACK BOX DIARIES』の編集とコープロデューサーを務め、2024年のサンダンス映画祭ワールド・ドキュメンタリー・コンペティション部門でワールドプレミア上映され、高い評価を得た。スクリーン・デイリー誌は山崎の編集を「素晴らしい」と評し、ヴァラエティ誌は「編集者の山崎エマによって、すべての素材が巧みに編み込まれている」とコメントした。本作品は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のDoc Fortnight、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)、CPH:DOX(デンマーク)、香港国際映画祭などの映画祭に出品中。

また、空音央監督の長編劇映画デビュー作では、エグゼキュティブ・プロデューサーを務めている。

2017年には映画プロデューサーのエリック・ニアリと結婚。監督とプロデューサーのパートナーシップを組んで作品に取り組む機会も多い。2022年には二人の間に息子が誕生。

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Cineric Creative

シネリック・クリエイティブは、ニューヨークと東京に拠点をもつ映像制作会社。主に日本と海外の国際共同制作を手がけ、野心的なインディペンダント映画の企画・制作を行う。
更に、日本や日本語の要素があるプロジェクトの制作サポート、日本のコンテンツの国際化など、コンサルティング・編集・翻訳・英語字幕・トレーラー制作なども行なっています。

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