Ema Ryan Yamazaki

Ema
Ryan
Yamazaki
山崎エマ

東京を拠点とするドキュメンタリー監督。日本とイギリスの血を引き、ニューヨークにもルーツを持つ。高校野球や小学校教育といった題材を通じ、日本社会の中で育まれた感性と、多文化環境で培った視点を重ね合わせ、独自の視点でドキュメンタリー制作を行う。

3本目の長編監督作品、日本の教育制度を通じて子どもたちが社会性を育むプロセスを描いた『小学校〜それは小さな社会〜』は教育やドキュメンタリーの分野を越えて広く注目を集めた。短編作品『Instruments of a Beating Heart』は第97回米アカデミー賞の短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされ、国際的にも高い評価を得た。

Works

About

神戸生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。大阪の公立小学校を卒業後、中・高は神戸のインタナショナルスクールに通った。青春時代にはモダンダンスに没頭し、自己表現の面白さと難しさを学ぶ。

映像制作に興味を持ったのは中学生の授業でビデオカメラを使って「何か」を伝える機会をもらった時。ストーリーテラーになることに魅力を感じた。

19歳で渡米しニューヨーク大学の映画制作学部を卒業後、巨匠サム・ポラードの編集助手としてキャリアを開始。

ロバート・レッドフォードがエグゼキュティブ・プロデュースし、巨匠マーク・レビンが監督を務めたCNN のドキュメンタリーシリーズ『 CHICAGOLAND 』(2014)を編集。

その後レビン氏と再びタッグを組み、編集とコープロデュースを手がけた長編ドキュメンタリー『CLASS DIVIDE』 が2015年、DOC NYCでグランプリを受賞し、2016年にHBOで放送。

監督・プロデュース・編集を手がけた初長編ドキュメンタリー作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』(英題『MONKEY BUSINESS: THE ADVENTURES OF CURIOUS GEORGE'S CREATORS』)では、人気絵本シリーズ「おさるのジョージ」の著作者、ハンスとマーガレット・レイ夫妻の半生をアニメーション、アーカイブ映像やインタビューを交えて描いた。

3年間の制作期間を経て、主に大学時代の仲間と作り上げた作品は、クラウドファンデングで18万6000ドル(約2000万円)を集め、2017年にロサンゼルス映画祭でワールドプレミア後、米Huluで配信。日本での劇場公開は2018年。

ニューヨークで約10年暮らしたころ、山崎は日本を出たからこそ気づいた日本独特の良さ、そして自分の視点から見た日本の姿を海外に発信したいという思いが強くなり、2017年春から東京にも拠点を作った。

長編2本目となった『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』(英題:『KOSHIEN: Japan's Field of Dreams』)は、夏の甲子園100回大会を迎えた高校野球を社会の縮図と捉え、大谷翔平と菊池雄星を輩出した花巻東高校の佐々木監督と、その彼が師と仰ぐ横浜隼人高校の水谷監督のそれぞれの100回大会の年を通して、戦後からの日本、そしてこれからの日本を見つめる作品となった。

本作はNHKとNHKエンタープライズとの国際共同制作になり、2019年にアメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭DOC NYCでワールドプレミア。2020年夏にスポーツ・チャンネルESPNにて全米放送。ニューヨークタイムズ紙の「海外映画おすすめトップ5」にも選出された。日本では2020年夏に劇場公開。

最新作『小学校〜それは小さな社会〜』は、東京都の公立小学校に前代未聞の密着取材を敢行。小学1年生と6年生に1年間密着し、日本社会に必要な素養を身につける子どもたちの姿を観察した。自らも日本の小学校に通った監督の「日本社会の基礎は学校教育にある」という信念から生まれた作品である。

本作は、2023年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映し、テッサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭でのインターナショナルプレミア上映。米PBS、仏France Télévisionsを含む30を超える国で配給された。日本では13館からからスタートした公開が100館に拡大される大ヒットとなった。

『小学校〜それは小さな社会〜』から生まれた短編『Instruments of a Beating Heart』は2025年に米アカデミー賞のドキュメンタリー短編部門にノミネートされ、これは日本人監督による日本を題材にした作品としてこの部門で史上初となった。

本作は由緒あるIDAドキュメンタリー賞のグランプリも授賞し、配信先のニューヨークタイムズ のOp Docsサイトでは史上最も再生された作品の一つとなった。

その他の映画作品としては、山崎は2025年に米アカデミー賞のドキュメンタリー長編部門にノミネートされた伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』を編集。

ベネチア映画祭でワールドプレミアされた空音央監督の劇映画『Happyend』(2024)ではエグゼクティブプロデューサーを務めた。

2022年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映されたオリンピック公式映画『東京2020オリンピック』の共同監督兼スーパーバイジング・エディターとして、河瀬直美総監督のチームに加わった。

2020年には第二次世界大戦中に製作された日本の特異なヒューマニズム映画の運命的な歴史を探求する短編ドキュメンタリー『ウィール・オブ・フェイト~映画「無法松の一生」をめぐる数奇な運命~』を監督。『無法松の一生』の4K修復版とともにヴェネチア国際映画祭のクラシック部門でプレミア上映された。

2020年にはYahoo! JAPANの「Documentary Filmmaker of the Year Award」を受賞。

更に、山崎は多くのドキュメンタリー番組をNHKと制作。NHK大河ドラマ『いだてん』の紀行番組(2019・全47本)、世界屈指の舞踊団アルビン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターの副芸術監督を30年近く務めた日本人・茶谷正純を追った『CHAYA 魂の番人〜エイリー舞踊団に捧げた半生〜』(2020)、京都にある800年の歴史を持つ寺の家族を捉えた『TEMPLE FAMILY』(2021)など。

2025年には、東京にDDDD film schoolが開校。山崎が役員と講師を務める。今後、日本においてドキュメンタリー文化がさらに発展し、社会に影響を与えられるように、ドキュメンタリー制作者たちのコミュニティーづくりに貢献していきたいと考えている。

パートナーは映画プロデューサーのエリック・ニアリ。監督とプロデューサーとして組んで作品に取り組む機会も多い。

Contact

Cineric Creative

シネリック・クリエイティブは、ニューヨークと東京に拠点をもつ映像制作会社。主に日本と海外の国際共同制作を手がけ、野心的なインディペンダント映画の企画・制作を行う。
更に、日本や日本語の要素があるプロジェクトの制作サポート、日本のコンテンツの国際化など、コンサルティング・編集・翻訳・英語字幕・トレーラー制作なども行なっています。

cinericcreative.com